ドアが開き、シュタイナーが入ってくる。ブラントのしかめっつらが晴れる。
足早に歩み寄ってシュタイナーに会い、その手を熱烈に掴む。
ブラント
来たか──こんなにだらしない軍人はいないぞ。
笑ってシュタイナーに椅子を勧める。
ブラント
(笑って)
報告は読んだ。計りしれない価値がある。個人的に将軍に伝えるつもりだ──
ああ、ひとつ。シュトランスキー大尉が銃について公式に抗議してきた。
それについて何か言っておかねばならない事は?
シュタイナー
(表情を変えず)
何を言えるってんです? ロシア軍の銃を持つためにドイツの銃を投げ捨てたんですよ。
ブラント
何故だ?
シュタイナー
ロシアの銃の方が優れています。私はわかっている。あなたもご存知だ。
兵士も知っている。シュトランスキー大尉はちょっと無知のようです。
ブラントは彼を見る。
ブラント
お前は新米だな。
シュタイナー
は。
ブラントはシュタイナーを見るとシュトランスキーの報告を握りつぶした。
彼はシュタイナーにたばこを差し出す。
ブラント
先月、前線から引き上げて司令部勤務に就くように言ったが?
シュタイナー
は。お断りしていると記憶してます。
ブラント
部下への軍人としての思いとやらか…… うむ──再度申し入れよう。
司令部要員になってほしい。
シュタイナーからの返事はない。
ブラント
わかった──今度の断る理由は何だ?
シュタイナー
(少ししてから)
誰にも頼られたくはないのです──連隊長殿であっても。
ブラント
変わらんな、お前を理解するのは難しいことがわかったよ。
シュタイナー
(淡々と)
それを聞き残念であります。良き曹長とは将校から完全に理解されている
べきでありますから。
ブラント
シュタイナー! お前は私をからかっているのか?
(近寄る)
シュタイナーは立ち上がり、ブラントがどうするか見る。
ブラントの口がビクビクしている。
ブラント
(声を震わせて)
出て行け!
シュタイナーは半端な敬礼をして去る。
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18. クローズショット − マーク
が、機関銃掩体にいる。夜の帳が下りる。マークは空を覗き込む。
突然、ロシア軍の短機関銃が火を噴く。
マークは、驚き、頭を泥に突っ込もうとする。
19. ミドルショット − シュタイナー
が暗闇の中を歩いている。銃弾の炸裂に、片ひざをついた。
ふたたび静寂となり、シュタイナーは闇の中を注意深く凝視する。
またもや銃撃連射があり、シュタイナーは地面にうつ伏せる。
そしてまたも静寂がある。シュタイナーはすばやく起きて最寄の機関銃掩体
に跳び込み──マークへ激しく迫るが、マークは出て行こうとしている。
銃撃がもう一連射。
シュタイナー
(聞こえるように叫ぶ)
どこへ行くんだ?
マーク
(どもりながら)
増援を呼びに──
シュタイナー
(怒って)
それで持ち場を離れるのか?
マークを壕に押し戻す。彼らは、ロシア軍の機関銃が静かになるまで一緒に
縮こまっている。そしてシュタイナーは銃眼を通して凝視する。砲弾が数発、
空をヒューンとやって来て、近くで爆発する。
マーク
(あえぎながら)
やつら、間違いなくすぐ前にいます。砲弾で壕が崩れます。
背後で走る足音が聞こえ、シュヌルバートが掩体壕に飛び込む。
続いてクリューガーとーホラーバッハ、マイヤー少尉がやってくる。
マイヤー
どうなっている?
シュタイナー
斜面の大きな窪みにロシア軍が多数います。
マイヤーは数秒間、苦々しく立っているが、そして:
マイヤー
(シュタイナーへ)
弾幕の信号を。クリューガー──中隊の残りを集めろ。
おれは司令官に知らせる。
マイヤーが急いで出て行く。シュタイナーが信号拳銃を拾う。
身をかがめて、掩体壕を去る。
20. ミドルショット − シュタイナー
が、塹壕の陣地に着く。信号拳銃にカートリッジを挿入、照明弾を撃ち上げる。
21. フルショット − 丘の斜面
が照明弾で照らされている。窪みの中に浮かび上がったロシア兵の影が見る
ことができる。そして暗闇−−そしてもう一度、景色が照らされる。
地面に伏せようとする影が見える。
22. ミドルショット − シュタイナー
が時計をみてため息をつく。そして苦笑していると、頭上にヒュルヒュルと
鈍い音が轟く。それが急速に力強いうなり音となり、あっという間に大爆発が起こる。
シュタイナーは向きを変えるとスタスタという急ぐ足音が聞こえてくる。
自分を追い越して機関銃掩体に走るマイヤーが見える。シュタイナーが後を追う。
23. 機関銃掩体
へマイヤーに続いて、シュタイナーが滑り込む。小隊の兵士は既に集まっている。
マイヤー
隊長命令。第2小隊はただちに反撃にかかれ。窪地を占領、できるだけ多く
捕虜を取れ。シュタイナー曹長、お前が指揮を取れ。どうすべきだと思うか?
シュタイナー
(少し考えて)
3方向から攻めましょう。クリューガーは西から、シュヌルバートは東から、
そして私が南から。射撃を始めるときには、援護砲撃が必要です
──ロシア軍を森に釘付けにしておくために。それでいいと思います。
マイヤー
(うなづく)
理にかなってるな。実際にうまくいってほしいものだ。
シュタイナー
(にやりと笑う)
単純すぎます。絶対にうまくいきません。いいでしょう──第1小隊、
おれが行くまで塹壕に伏せていろ。
身をかがめて、アンゼルムとパスターナックを先頭に、兵士は塹壕へ降り始める。
24. トラックショット − 兵士
は身をかがめ緊張で張り詰めた顔で塹壕へ降り進む。武器がガチャガチャと音を立てる。
兵士たちは止まり、互いを見る──あるものはひきつった笑顔をしている。
アンゼルム
(神経質な笑い)
曹長、──電話要請をいたしましょうか?
陽気なところが全くない苦笑が兵士たちの中で起きる。
シュタイナー
(クリューガーに)
お前は部下とここにいろ。
シュタイナーが腕を挙げる。残りの兵士たちが続く。
25. 塹壕の向うへ降りた地点
で、シュタイナーと兵士が視界に入ってくる。シュタイナーは手を挙げて
止まれの合図をする。そして、塹壕越しを凝視し、身を乗り出し、
部下に続くよう合図を出す。
26. 丘の斜面
シュタイナーと兵士の、斜面を降る影が見える。平地に着くと、シュタイナーが
止まれの合図をもう一度出す。
シュタイナー
(シュヌルバートに)
ここで待機。5分後きっかりに攻撃──
シュヌルバートは時計を見る。
シュタイナー
最初の銃撃があったらすぐに行く。いいか?
シュヌルバート
(不平気味に)
了解です。
シュタイナーと握手する。シュタイナーは、ケルン、アンゼルム、パスターナックを
追って暗闇の中へ歩いていく。
28. クローズショット − 地表のシュタイナー
シュタイナーの例に倣い、他の兵士たちが無言で追ってきている。
匍匐しているアンゼルムが画面に入ってくる。
アンゼルム
(ささやく)
なにかまずいことでも?
シュタイナーが頭で左側を示す。アンゼルムがその視線を追う。
29. ロングショット − おぼろげな隊列の姿
が、闇の中を注意深く動いている。20メートルも離れていない。
30. シュタイナーと部下
アンゼルム
露助! 100人はいる!
ためらうシュタイナー。
シュタイナー
シュヌルバートには何人いる?−−12人か? やつら、シュヌルバートに
まっすぐ向かっていくぞ。
アンゼルム
今すぐやつらを撃ったらどうです?
シュタイナー
それだと反撃計画全体がだいなしになってしまうだろう。
(唇をかみしめ、懸命に考える)
シュヌルバートにはやつらが向かってきてるのさえ見えてないだろう──
ベルトの信号拳銃に手を伸ばす
シュタイナー
照明弾を2発−−シュヌルバートはお客さんが集まってきてるのが見える──
そのときに、やつらの背後をおれたちが射撃を開始したら──
(肩をすくめて)
おそらく、混乱に──
照明弾2発を間隔をおかずに放つ。
31. ロングショット − ロシア軍隊列
が奇襲を受ける。射撃音が鳴り響き、数人が崩れ落ちる。
32. ミドルショット−シュタイナーと兵士
シュタイナー
いいぞ──背後からだ。一緒に固まって、手榴弾を惜しむな。
(皮肉で)
忘れるな、全ドイツ国民の目がお前たちに注がれていることを。
ロシア軍の方向へ走っていき、兵士たちが続く。
33. シュトランスキー大尉のトーチカの外
銃撃と大爆発の音で空気がビリビリとしている。シュトランスキー大尉が
トーチカ外へ走ってきて、トリービッヒ少尉が続く。二等兵が反対方向から
走ってきて画面に入る。
二等兵
シュヌルバート伍長から伝言であります。ロシア軍が塹壕へ突入しました。
トリービッヒが警戒する風
シュトランスキー
(トリービッヒへ)
本部要員全員でトーチカ前面の陣地を奪取せよ。戦闘のやりかたは電話で伝える。
シュトランスキーは向きを変え、トーチカへ走りこむ
34. クローズショット−シュタイナーとアンゼルム
が機関銃の配置についている。斜面に寝そべりながら、塹壕前面へ射撃している。
アンゼルム
なぎ倒しています。
シュタイナー
誰だ? 友軍か、敵軍か?
35. 第2小隊のトーチカ外
機関銃射撃が遠くで炸裂する音。ホラーバックとケルンがアンゼルムを援護しつつ
あるが、アンゼルムはかなりヨタヨタしている。
彼らの背後にはドルンとクリューガーがいる。みんな疲れ、すすけているように見える。
36. トーチカ内
に入る。
ケルン
(アンゼルムへ)
お前はマヌケだ、野戦病院へ行かないなんて──
アンゼルム
(床に崩れながら)
混雑が終わる休日まで待つのさ。じゃなきゃ、なんともなくとも切断したがるんだ。
ホラーバッハ
いったいどうなったのか誰かまだわからんか?
ドルン
(ぼうっとしているよう)
───混乱───混乱───
アンゼルム
何もわからなかった。何かが動くとそいつを撃った。
たぶんロシア兵とおなじぐらいドイツ兵をやっただろう。
ホラーバッハ
黙れ!
アンゼルム
頼むぜ−−負傷兵に少しは敬意を。
シュタイナーが入ってくる。頭の上に包帯をしている。
シュタイナー
クリューガー、信号でどうなった?
クリューガー
窪地を掃討していましたが───
そのとき曹長の方向から射撃音が聞こえました──
シュタイナー
正式な招待状を待ってるんじゃないかと思ってたぞ。
クリューガー
クソなあてこすりはなんとかならんですか。尻拭いしたんですぜ。
シュタイナー
おや、そうか? それじゃ、お前はおれのをなんとかでき──
37. ミドルショット トーチカ入り口にて
シュトランスキーとトリービッヒが入ってくる。兵士が注目し始める。
シュトランスキー
(そっけなく)
休め。
(シュタイナーへ)
ひどいことだ。第2中隊の半数が行動不能になったのを知ってるか?
シュタイナー
はっ。我が小隊もやられました。
シュトランスキー
何故、予定通りに計画を実行しなかったのだ?
クリューガー
計画なんて──
*以下SCENE67まで不明。